トルコ人の名前について
アジアとヨーロッパを繋ぐ場所に位置するトルコ。
トルコで知り合いが増えると同じ名前に遭遇することも多くなってきます。
「なぜ男性も女性も同じ名前が多いんだろう?」
「同じ名前が多いのは何か理由があるのかな?」
名前が2つある人もけっこういて、どっちでも好きな方で呼んでと言われます。
トルコでは日本のように苗字で「~さん」と呼び合うことがないので苗字はあまり必要ではありません。そのため友達になってからずっと後になって相手の苗字を知ることもよくあります。
トルコ語の語彙が増えるにつれてトルコ人の苗字を見た時に「何これ?こんな苗字だったの?」と驚くことも増えて来ます。
トルコ人の名前や苗字にはどんな意味があるのでしょう?
トルコ人の名前にはアラビア語由来とトルコ語由来があるんです。
更には旧約聖書や新約聖書由来の名前もあって悠久の歴史を感じさせる名前も。
苗字は20世紀に入ってから政府の方針で全ての国民が苗字を持つことになったのですが中にはとても面白い苗字が存在します。
トルコ人の名前や苗字の意味を知るとトルコの文化や歴史にも触れることができてとても興味が湧いてくることに気づきました。
どのような名前や苗字があるのか早速見てみましょう。
トルコ人の名前の由来
トルコ人の名前の由来は大きく分けるとアラビア語由来とトルコ語由来の2種類があります。
アラビア語由来が多いのは、トルコはイスラム教徒の国なので納得です。
アラビア語由来
預言者ムハンマドの家族や親戚の名前をつけることは意味も分かっているので全く問題はないし、イスラム教の文化圏に共通する名前だと思います。
ですが、トルコ人がイスラム教徒だからといってアラビア語も知っているわけではないのに、コーランに書かれている名詞だから大丈夫だと勝手に子供の名前に使う人もいるそうです。
子供の将来に関わる大問題にならないのでしょうか??
トルコ語由来
- トルコ語で美しさや強さを連想させる名詞
- 動物や植物、自然や天候を表す名前
最近ではトルコでも日本と同じように「キラキラネーム」が増えているという話も聞きました。
子供の名前に関する注意点
子供の名前を付ける場合の注意点もあるそうです。
コーランから引用した名詞が子供の名前として適切か専門家や学者に相談した方がよいと言う意見もあるとか。
私のトルコ人の知り合いも専門家に相談して縁起のよいアラビア語由来の名前を探してもらった人がけっこういます。
イスラム教にも存在する4大天使の名前も子供の名前として使わない方がよいという説もあります。(理由はわかりませんでした。ごめんなさい。)
カトリックでもミカエル・ガブリエル・ラファエルはよく見かける名前ですが、アズライルは「死」を司る大天使なので名前にはふさわしくないのでしょうね。
子供につける名前は、アラビア語由来とトルコ語由来に加えて「縁起の良し悪し」も考慮するように感じます。
トルコ人の名前の背景
トルコ人の名前の背景とはなんでしょうか?
オスマン帝国時代までは苗字がなかったので「父〇〇の息子〇〇」「父〇〇の娘〇〇」と呼ばれることが一般的だったそうです。
また生まれた子供には祖父や祖母の名前をつけることも多かったので親戚中に同じ名前の子供がたくさんいることも当たり前だったとか。
現在でも有名人のプロフィール紹介欄に「父〇〇の息子」や「父〇〇の娘」といった表記を見かけることがあります。
トルコの伝統を垣間見る表記の仕方で面白いですね。
トルコ人女性によくある名前
アラビア語由来の名前
どの年代でも順番は変わってもトップ5の名前があります。
エミネ :
「信頼できる」の意味
アイシェ:
「平安に暮らせるように」の意味
ファトマ:
「地獄から遠ざかる」「理想の女性」の意味
ハティジェ:
「偉大な女性」の意味
ゼイネップ:
「貴重な」の意味
メリエムという名前は「信仰心が厚い女性」という意味があるのですが、実はこの名前はイエス・キリストの母「聖母マリア」のことなんです。
私の友人や知り合いにも上記の名前を持つ人達がけっこういます。
トルコ語由来の名前
トルコ語由来の名前は「美しさや優雅さ」を連想させるものや「光の輝き」を表すものが多いです。
ユルドゥズ(星)・ヌル(光)
メフタプ(月の光)
チチェキ(花)
ラーレ(チューリップ)
ソンギュル(最後のバラ)
ヤームル(雨)・デニズ(海)
メレク(天使)・イペク(絹)
エルマス(ダイヤモンド)
スルタン(王族)
アダレット(正義)
ネザケット(礼儀)など
トルコ人女性の名前はアラビア語由来もトルコ語由来も「美しさや優雅さ」を感じさせる名前が特徴です。
トルコ人男性によくある名前
ではトルコ人男性の名前はどうでしょうか?
こちらも、やはりどの年代でも見られるトップ5があります。
アラビア語由来が圧倒的に多いですが旧約聖書や新約聖書由来の名前もあります。
アラビア語由来の名前
ア リ :「崇高な」の意味
メフメット:「称賛に値する」の意味
フセイン:「善い」「美しい」の意味
ユスフ:「追加する」の意味
ムスタファ:「選ばれし人」の意味
トルコ語由来の名前
オスマン(炎のような男)
ゼキ(賢者)・ギョクハン(空の王)
アイドゥン(明るい)
エムレ(友達)
デニズ(海)・タイフン(台風)
ザフェル(勝利)
サヴァシュ(戦争)
バルシュ(平和)・ムラト(希望)
ファティフ(征服者)
ジハンギル(征服者)など
トルコ人男性の名前は「男性らしい強さ」を表した名前が多いように感じます。
旧約聖書や新約聖書由来の名前
イスマイル(旧約聖書の神を聴く者より派生)
イ サ(イエス・キリスト)という名前もあります。
トルコ人の苗字は面白い
トルコ人の苗字はさらに面白いです。
苗字は、元々オスマン帝国の時代まではなかったそうですが、1935年頃から創姓法により国民全員が姓を持つことが義務付けられたそうです。
「名は体を表す」のか「表したかった」のかは不明ですが「勇ましい・硬い・強い」がキーワードのようです。
勇ましい系
ユルマズ(不屈の)
カンユルマズ(血に怯まない)
コルクマズ(恐れない)
オルメズ(死なない)
アルカン(赤い血)
トュルクメン(トルコ人)
オズトュルク(純トルコ)など
どれも勇敢なイメージです。
硬い系
カヤ(岩)・デミル(鉄)
オズデミル(純鉄)
チェリク(鋼鉄)
アルトゥン(金)など
硬い・強靭なイメージでしょうか。
強い動物系
アスラン(ライオン)
カプラン(トラ)・クルト(狼)
シャーヒン(鷹)・ドアン(鷲)など
どれも強そうな名字ですね。
〇〇の息子という名字
チャプシュオール(直系の息子)
アシュチュオール(料理人の息子)
チャルシュカンオール(働き者の息子)
アスランオール(ライオンの息子)
クルトオール(狼の息子)など
一般庶民が苗字を持たなかったころの名残でしょうか。
職業の〇〇屋
デミルジ(鍛冶屋)= スミス
アブジュ(猟師) = ハンター
チフチ(農家) = ファーマー
チョバン(羊飼い)= シェパード
エクメクチ(パン屋)= ベーカー
イペクチ(絹屋)
ドマテスチ(トマト屋)など
英語の苗字に通じるものもあって面白いですよね。
??な名字
サラクオール(バカの息子)
ポルタカル(オレンジ)
コルカク(臆病者)
カラブルト(黒い雲)
ゼンギン(金持ち)など
「こうなりたい」という希望を込めた苗字や、何を基準に決めたのかよく分からない苗字もありますが意味が分かるととても興味深いです。
名前以外の呼び方もある
これはトルコドラマでも頻繁に出てきます。
トルコはイスラム圏ですがラテン系のような情熱的なところがあるので夫婦間・恋人間では英語のハニーやダーリンを超える呼び方があるんです。
例えば:
ビターネム(私の唯1人のひと)
アシュクム(私の愛)
ジャヌム(私の命)
ハヤトゥム(私の人生)
ギュリュム(私のバラ)
バルム(マイハニー)
スルタヌム(私のスルタン)など
便利な呼び方ですが、そのうち相手の名前を忘れてしまいそうな気が。
トルコでは人間関係が濃いので他人の子供(成人の場合もあり)でも
ヤウルム(私の赤ちゃん)
オールム(私の息子)
クズム(私の娘)
と呼びかけるので驚きます。
相手が年下であれば、成人した男性も女性も子供呼ばわりされるんです。
その場に居合わせると見ているだけで面白いです。
まとめ
トルコ人の名前の由来や背景を知ることはトルコの文化や歴史にも触れることに繋がります。
相手の名前の意味が分かるとトルコ人がもっと身近な存在に感じられて、文化や習慣を知ることでトルコ人に受け入れてもらえるようになります。
さらにトルコ人は知り合いになった日本人に「トルコの名前」をくれることも。
その時に自分がもらった名前の意味を知っているとうれしさが倍増です。
単に外国人の名前を発音できないとか覚えられないという理由でトルコの名前をくれることもありますが、友人としてあなたを受け入れてくれたという証拠です。
トルコ人の名前の意味や由来を知ってトルコの文化を知る手がかりにして下さいね。